自爆テロ
2004年 11月 02日
「いやこの沈黙はそう長く続かないと思う。」
という会話が交わされた10分後に沈黙は破られたのです。
今日、11月1日午前11時15分テルアビブの市場で自爆テロです。
第一報はやはりラジオです。テレビはまだのんきにトークショーなどを放送中。
そのうちテロが起こった場所を表す地図が画面に映し出されました。
まだガスボンベが爆発したのか、テロなのか状況が確認できないとのこと。
やっと映像が届きました。救出に向かう救急隊員がストレッチャーを押しながら走っています。
ふだんはだらだらしているイスラエル人のきびきびした姿が唯一見られる瞬間です。
死者3人 負傷者30人以上 自爆テロを行ったのは16歳の少年
自爆テロを行った彼もきっとテロリストグループにそそのかされ殉教者にしたてあげられた被害者だ。
市場の人たちは口々にテロがここで起こるとは思っても見なかったとインタビューに答えていた。
テロのほとんどはエルサレムで起こっているため、テルアビブでは警備も手薄である。
エルサレムの市場では入り口すべてを兵役中の若い兵士たちがだらだらと警備をしている。最近は荷物チェックもまったくされず、素通りできるという状況だし、抜け道もたくさんある。兵士がいる意味がないが、イスラエル側もちょっとぬけたところあるし、同様にパレスチナ側もそうだから助かってる。これが、アルカイーダや日本人相手だったらこうはいかないだろう。両者とも綿密な計画を練って相手のすきをついてくるだろうから。
どっちにしても、自爆テロリストは死ぬ気でやってるから、どんなに警備をしても防ぐことはできないと思う。
きのうもベルシェバでテロがあったし、またきょうも。犯人の一味はエルサレムに向かって逃走中らしいし、なんだかバスに乗るのがいやだな。
よっぽど学校はやすもうかと思ったが、時間の経過とともに気持ちが落ち着いてきたので大学に行くことにした。
バス待ちをしている間、警察のバンが3台たてつづけに通った。
犯人追跡中か と緊張してみていたら、車中の警察官たちはへらへらしていたし、
3台目は軍警察だったが、運転しながら携帯片手におしゃべりちゅう。
あぶねーよ。イスラエルでも運転中の携帯使用はずいぶん前から禁止だし罰金も高いのに。
おかげで私の緊張感もかなりほぐれ、バスに乗り込んだ後は大学まで爆睡してしまった。
大学でイスラエル人の友達に日本の台風、地震、拉致殺害事件、そしてきょうのテロでかなりまいっていると話すと、
「これはね戦争なんだよ。戦争はきょう、あしたでおわるわけじゃない。この問題はずっと続くんだよ。だから気にしても無駄。一番いい解決法はね、ニュースを見たり聞いたりしないことだよ。心配してもとめることはできないんだから、真剣に受け止めていると精神がもたないよ。」
「でも、みんなが苦しんでいるのをシェアしたり、一緒に問題を考えたりしたいと思わない?」
「ぼくはその段階はもう通り過ぎた。」
イスラエルにいると、先週の日本みたいに人の命が毎日のように奪われている状況だから、考えすぎるとやっていけないのは確かだ。
だからこそ癒しが必要だ。大学の中庭の住人をみて癒される。
