エルサレムのペントハウス
2005年 03月 14日
電話をかけると、なんだか気持ち悪い女好きそうなおっさんの声。
ペントハウスは2フロアあり、下の階に彼が住み、上を貸したいのだそう。
うちの近くなので見に行くことにした。すでに夜の10時。時間が時間だし、電話の声の主がきもいので、少し身の危険を感じながらペントハウスへと歩いていく。
確か商店の上だと言っていた。そんなところにあるのか。
とりあえず商店の前から電話をかけると、やつは私の動きをベランダからずっと見ていたらしく
「おーい、ここだよ。」という声が、電話のむこうから聞こえた。
どこにいるんだ。商店の中にはいない。きょろきょろしているとさらに
「miche~, miche~,ここだよお~。」
と、上からわたしの名前を叫びまくってる。
わたしは、
「入り口はどこ?だから、入り口はどこや?」と携帯に向かって連呼していましたが、
電話はすでに切られていた。むなしい語りかけだったようだ。
「ここ、ここ。三階の5号室」とベランダから叫びやがる。
おまえ、叫ばずに電話で話せや。
私は大きい声で話す人は苦手だ。それにこんなテンションの高い男をルームメイトにして暮らせるかな。
部屋について明るいところで見るとおっさんでも、女好きの変質者でもなく、普通の健康的な雰囲気の青年だった。声と外見のギャップがありすぎるぞ、イスラエル人って。
玄関を開けるといきなりねこの額ほどのリビング。その隣に彼の部屋があり女の子が転がってた。
リビングのソファにペントハウスの上階の住人が座っていた。
リビングの裏にはとってつけたようなキッチン。階段を上るとペントハウス上階だ。
バスルームと小さい部屋が2つそれときれいな夜景が見渡せるバルコニー。
改装したらしく部屋はきれいだったが、ここもカビに侵され始めていた。
実はこのアパートのルームメイト募集広告を1ヶ月前に私は見ていた。
おそらくこの住人は入居してすぐ出るのではないだろうか。
私 「あなたはなぜ引っ越していくの。」
住人 「居心地がよくないから。」
私 「その気持ちなんとなくわかるよ。」
しばし彼と話をし、階下に下りていき、お礼を言って去った。
彼のテンションはかなり下がっていた。
これをペンションと呼ぶのは誇大広告もいいところだ。
ペントハウスつったら、窪塚がダイブした小型プールぐらいは設置できる規模のバルコニーがあるところだぜ。
あるわけねーと思いながらもちょっとは豪華マンションもどきを期待していたのに、ここまで裏切られるとはな。なさけない。
くやしいので、ペンションの定義を調べてみた。
プログレッシブ英和中辞典によると(国語辞典には載ってなかった)
屋上(仮設)家屋
高級な屋上(ビルの最上階の)住宅 (芸能人などが住む)
差し掛け屋根、下屋
となっておった。
なあんだ。私が見に行ったのは最上階の高級住宅ではなくて、屋上(仮設)家屋だったのね。納得。