アラファト国葬2
2004年 11月 13日
ヘリのドアを開けることもできない。
かろうじてあけることのできたドアの隙間から顔を出して、最初は人々に手を振っていたパレスチナ政府高官であるが、熱狂的な群集に取り囲まれて出るに出れない状況であることを確認すると中に戻ってしまった。
パレスチナ警察はヘリから離れてもらうために、発砲。だが、まったくこんなの役に立たなかった。
再度、ドアを開けようと試みたが人々は退くどころか押し寄せてくるばかりで、高官のお願いなどだれも聞いちゃいない。
犬や猫を追い払うようなしぐさで追いやろうとしていたがこれもまったく効果なし。
5発や6発の発砲では誰もひるまないので、マシンガンを空に向かって打ち始めた。が、これもまったく効果なし。
今日中に葬儀を行うことはできるのだろうか。
ジープを群集に向けて突進させてドアが開けられるスペースを確保しようとしたが、これも失敗に終わった。
かれこれ30分。
あらゆる手をつくし、ついにドアが開けられ、タラップをおろすことができた。
パレスチナ国旗をかぶせた棺がヘリから降ろされ始めた。
人々は狂ったように押し寄せ、警官の銃がなり続けた。
イスラエル国営放送でアラブ系コメンテーターが、パレスチナ市民は棺に触れたり、口付けをしたいがために押し寄せてきているのだと説明をしていた。
と、いうのも棺を「拉致」してエルサレムにもっていこうとするのではないかと恐れる声があるからだ。
棺をかつぐパレスチナ警察が徐々に進んでいる。はたして正しい方向に進んでいるのか。これほど人に囲まれていたら、間違った方向に向かっていても確認することができない。
いつの間にか棺にかぶせてあったパレスチナの旗がなくなっていた。
あ、うちの近くで銃声。というか爆発音。なんだろう。
あ、まただ。ちょっと警察に電話する。今、イスラエル時間19:26.安息日に入ってるから外にはテロの標的になるような人ごみはない。